process6 付属施設の計画(駐車施設)

共同住宅を設計するためにする100のこと

敷地内に計画できる建物の範囲は分かりましたが、建物のまわりには付属施設の計画もしなくてはなりません。付属施設で計画上大きく関わってくるものは駐車場、駐輪場があります。建物の周りに配置できない場合は建物の中に計画することになりますが、その分建物内に配置できる住戸の面積が減ることになるので、この段階で計画しておく必要があります。

まず駐車場についてみていきましょう。

駐車場の付置義務対象になるか

まず横浜市などの各自治体の条例や要綱による駐車場の付置義務があるかを確認します。
 つぎに東京都の場合
東京都駐車場条例の付置義務対象かどうかを確認します。
 駐車場整備地区・商業地域・近隣商業地域で特定用途の部分(店舗・事務所)の床面積と非特定
 用途の部分(住宅)の床面積の3/4の合計が1,500㎡を超えるものが駐車場付置義務対象です。
 住宅用途のみの共同住宅の場合延べ床面積が2,000㎡以下の場合は付置義務が発生しません
 下記の計算フォームで付置義務対象面積が1500㎡を超えると対象となります。

駐車施設の附置義務|駐車対策の推進|東京都都市整備局
東京都都市整備局の駐車施設の附置義務(駐車対策の推進)のページです。
東京都都市整備局

※特定用途・・・劇場、映画館、演芸場、観覧場、放送用スタジオ、公会堂、集会場、展示場、結婚式場、斎場、旅館、ホテル、料理店、飲食店、キャバレー、カフェー、ナイトクラブ、バー、ダンスホール、遊技場、ボーリング場、体育館、百貨店その他の店舗、事務所、病院、卸売市場、倉庫若しくは工場又はこれらの2以上のものをいいます。
※共用部を特定用途と非特定用途の両方が使用している場合はそれぞれの特定用途と非特定用途の面積の割合に応じて共用部面積を按分してそれぞれに算入します。

付置義務対象になった場合必要台数を計算しましょう。

駐車場の必要台数の算出

東京都駐車場条例
東京都23区の場合
付置対象面積(特定用途の部分(店舗・事務所)の床面積と非特定用途の部分(住宅)の床面積の3/4の合計)が6000㎡超えの場合の付置台数

● 駐車場台数算定基準表

用途 駐車台数の算定式
特定用途
店舗 1台 / 250m²
事務所 1台 / 300m²
非特定用途
共同住宅 1台 / 350m²

● 計算例

用途 面積 (m²) 算定式 計算 台数 (台)
店舗 500m² 1台 / 250m² 500 ÷ 250 2.00
事務所 600m² 1台 / 300m² 600 ÷ 300 2.00
共同住宅 7350m² 1台 / 350m² 7350 ÷ 350 21.00
合計 25.00
最終必要台数 25 台

💡 注意事項:

  • 合計台数が少数になった場合は、切り上げて整数とします。
  • 面積には、駐車場の面積は算入しません。

駐車場の必要台数の算出

東京都駐車場条例
東京都23区の場合
付置対象面積(特定用途の部分(店舗・事務所)の床面積と非特定用途の部分(住宅)の床面積の3/4の合計)が6000㎡以下の場合緩和係数を使っての付置台数を算出します。

● 付置義務駐車台数の算出手順

1. 6000㎡超えの計算式で必要台数を算出

まず、延べ面積が6000㎡を超える場合の計算式に基づいて、必要な駐車台数(総算定台数)を求めます。これは、各用途の床面積を算定基準表に基づき割った値の合計となります。

総算定台数 = Σ (各用途の床面積 ÷ 算定基準面積)

2. 緩和係数の計算式

次に、延べ面積が6000m²以下の場合の緩和規定に用いられる緩和係数を下記の計算式で求めます。

計算式(延べ面積 6000m²以下の場合)

緩和係数 =
1 -
1500 × (6000 - 延べ面積)
(6000 × (特定用途の床面積 + 非特定用途の床面積 × 3/4)) - 1500 × 延べ面積

注意事項:

  • 延べ面積とは、特定用途(店舗、事務所など)と非特定用途(共同住宅など)の床面積の合計です(駐車場の面積は除きます)。

3. 最終的な必要台数の算出と注意事項

最後に、手順1で算出した「総算定台数」に、手順2で求めた「緩和係数」をかけて最終的な必要台数を決定します。

最終必要台数 = 総算定台数 × 緩和係数

注意事項:

  • 計算結果が2台以下になった場合は、2台を最終的な必要台数とします。

● 付置義務駐車台数の算出手順と計算例

1. 6000㎡超えの計算式で必要台数を算出(総算定台数)

まず、各用途の床面積を算定基準表に基づき割り、必要な駐車台数(総算定台数)を求めます。

用途 面積 (m²) 算定式 台数 (台)
店舗 500m² 1台 / 250m² 2.00
事務所 600m² 1台 / 300m² 2.00
共同住宅 3500m² 1台 / 350m² 10.00
総算定台数(合計) 14.00 台

2. 緩和係数の計算式

延べ面積が6000m²以下の場合の緩和規定に用いられる**緩和係数**を下記の計算式で求めます。

計算式(延べ面積 6000m²以下の場合)

緩和係数 =
1 -
1500 × (6000 - 延べ面積)
(6000 × (特定用途の床面積 + 非特定用途の床面積 × 3/4)) - 1500 × 延べ面積

💡 注意事項:

  • 延べ面積とは、特定用途(店舗、事務所など)と非特定用途(共同住宅など)の床面積の合計です(共同住宅の駐車場面積は除く)。
    (計算例では 500㎡ + 600㎡ + 3500㎡ = 4600㎡ となります)

計算例の緩和係数: 0.86

3. 最終的な必要台数の算出と注意事項

「総算定台数」(14.00台)に「緩和係数」(0.86)をかけて最終的な必要台数(付置義務台数)を決定します。

計算項目 算定過程 台数 (台)
付置義務台数 (緩和後) 14.00 台 × 0.86 12.04
付置義務台数(切り上げ) 13 台

⚠️ 注意事項:

  • 計算結果が2台以下になった場合は、2台を最終的な必要台数とします。
  • **延べ面積**には、**駐車場の面積は算入しない**ものとします。

駐車場の必要台数の算出

東京都駐車場条例
東京都の市の場合
付置対象面積(特定用途の部分(店舗・事務所)の床面積と非特定用途の部分(住宅)の床面積の3/4の合計)が6000㎡超えの場合の付置台数

🅿️ 駐車場台数算定基準表

用途 駐車台数の算定式
特定用途
店舗 1台 / 250m²
事務所 1台 / 300m²
非特定用途
共同住宅 1台 / 300m²

🧮 計算例

用途 面積 (m²) 算定式 計算 台数 (台)
店舗 500m² 1台 / 250m² 500 ÷ 250 2.00
事務所 600m² 1台 / 300m² 600 ÷ 300 2.00
共同住宅 7350m² 1台 / 300m² 7350 ÷ 300 24.50
合計 28.50
最終必要台数(切り上げ) 29 台

💡 注意事項: 合計台数が少数になった場合は、必ず切り上げて整数とします。

駐車場の必要台数の算出

東京都駐車場条例
東京都の市の場合でも
付置対象面積(特定用途の部分(店舗・事務所)の床面積と非特定用途の部分(住宅)の床面積の3/4の合計)が6000㎡以下の場合 先ほどの緩和係数を使っての付置台数を算出します。

🅿️ 付置義務駐車台数の算出手順と計算例

1. 6000㎡超えの計算式で必要台数を算出(総算定台数)

まず、各用途の床面積を算定基準表に基づき割り、必要な駐車台数(総算定台数)を求めます。

用途 面積 (m²) 算定式 台数 (台)
店舗 500m² 1台 / 250m² 2.00
事務所 600m² 1台 / 300m² 2.00
共同住宅 3500m² 1台 / 300m² 11.67
総算定台数(合計) 15.67 台 (切り上げ 16 台)

2. 緩和係数の計算式

延べ面積が6000m²以下の場合の緩和規定に用いられる**緩和係数**を下記の計算式で求めます。

計算式(延べ面積 6000m²以下の場合)

緩和係数 =
1 -
1500 × (6000 - 延べ面積)
(6000 × (特定用途の床面積 + 非特定用途の床面積 × 3/4)) - 1500 × 延べ面積

💡 注意事項:

  • 延べ面積とは、特定用途(店舗、事務所など)と非特定用途(共同住宅など)の床面積の合計です(共同住宅の駐車場面積は除く)。
    (計算例では 500㎡ + 600㎡ + 3500㎡ = 4600㎡ となります)

計算例の緩和係数: 0.86

3. 最終的な必要台数の算出と注意事項

総算定台数の切り上げ値(16台)に「緩和係数」(0.86)をかけて最終的な必要台数(付置義務台数)を決定します。

計算項目 算定過程 台数 (台)
付置義務台数 (緩和後) 16 台 × 0.86 13.76
付置義務台数(切り上げ) 14 台

⚠️ 注意事項:

  • 計算結果が2台以下になった場合は、2台を最終的な必要台数とします。
  • **延べ面積**には、**駐車場の面積は算入しない**ものとします。

駐車場の必要台数の算出

東京都集合住宅駐車施設附置要綱(東京都の場合)
 23区内で駐車場整備地区・商業地区・近隣商業地域以外で延床面積10000㎡を超える建築物で
 集合住宅の部分の床面積が2000㎡を超えるもの東京都集合住宅駐車施設附置要綱が該当します。
 東京都駐車場条例とは別の規制で計算方法も異なるので注意です。
 ※ただし特定用途(店舗・事務所等)がある場合は東京都駐車場条例も該当します。

 

🅿️ 【解説】東京都集合住宅駐車施設附置要綱に基づく計算例

1. 算定基準と要綱の概要

東京都の集合住宅駐車施設附置要綱における必要駐車台数は、以下の2つの算定基準を比較し、小さい方の数値以上の台数を確保する必要があります。

基準 算定式
① 戸数による基準 住戸数 ☓ 30% (0.3)
② 床面積による基準 住宅に供する部分の床面積 ÷ 350m²

2. 要綱に基づく計算例

住戸数117戸、住宅に供する部分の床面積13,500m²を基準に計算します。

項目 数値 算定過程 台数(切り上げ)
① 戸数による基準 117 戸 117 ☓ 0.3 35.1 台 切り上げ 36 台
② 床面積による基準 13,500 m² 13,500 ÷ 350 38.57 台 切り上げ 39 台
必要台数(①と②のうち小さい数値) 36 台以上

📝 注意事項:

  • 算定結果が少数になった場合は、要綱に基づき切り上げて整数とします。

ネット上に設計に関わる計算でとっても素晴らしいサイトがありました。建築計算機というサイトです。本当に素晴らしいサイトです。下記のリンクを貼らさせていただきました。

では次に駐車場のサイズについて確認しましょう。

● 駐車場付置義務台数と車種別内訳の算定

1. 付置義務台数(A)の決定

2. 車種別内訳(B、C、D)の算定(換算前)とスペース寸法

決定した付置義務台数(A)を基に、各車種の台数を以下の基準で内訳算定します。また、確保すべき各スペースの寸法を記載します。

項目 内訳 算定基準(台数) スペース寸法と機械式要件
B 身障者用スペース 付置義務台数(A)のうち、1台を確保する。 **6.0m ☓ 3.5m**
C 普通車 (付置義務台数 ☓ 0.3) - B(身障者用) **6.0m ☓ 2.5m**
(機械式駐車の場合:パレット幅1.9m ☓ 長さ5.3m ☓ 高さ1.55m以上、重量2.2t以上)
D 小型車用 付置台数(A) - B - C **5.0m ☓ 2.3m**
(機械式駐車の場合:パレット幅1.7m ☓ 長さ4.7m ☓ 高さ1.55m以上、重量1.5t以上)

3. 30台以下の場合の普通車小型車への換算ロジック

付置義務台数(A)が30台以下の場合、普通車(C)は小型車に置き換え(換算)が可能です。この換算は、最終的な内訳に影響します。

【適用条件と換算式】

  • 条件: 付置義務台数(A)が 30台以下 の場合
  • 換算対象: 普通車(C)の台数
  • 換算率: 普通車の必要台数 ☓ 1.3倍以上の小型車に置き換え可能です

※ 平置きでの換算は認められません。

【自動計算】駐車施設附置台数計算(東京都)|東京都駐車場条例の附置義務 | 建築計算機
東京都駐車場条例に基づいた附置義務計算ツールです。地域地区や用途ごとの延べ面積(用途別床面積を算出したい方はこちら)を入力するだけで必要台数を算出できます。各種緩和係数も考慮しており、区部だけではなく市部にも対応しています。 次のような方に
建築計算機

以上が駐車場の計画の関わる基準でした。

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