代替進入口を計画する。

建築基準法

建築基準法施行令 第126条の6
建築物の高さ31m以下の部分にある3階以上の階には、非常用の進入口を設けなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合においては、この限りでない。

よく街中で見かける大型建築物で窓に三角形のマークがついているあれです。
でも共同住宅の場合、非常用進入口の構造条件にある奥行き1m以上、長さ4m以上のバルコニーを計画するのは困難なため、下記1号の非常用エレベーターの設置がない物件は、2号に該当する代替進入口(だいたいしんにゅうこう)を設けるのが一般的です。

ただし、次の各号のいずれかに該当する場合においては、この限りでない。
一 第129条の13の3の規定に適合するエレベーターを設置している場合
二 道又は道に通ずる幅員4m以上の通路その他の空地に面する各階の外壁面に窓その他の開口部(直径1m以上の円が内接することができるもの又はその幅及び高さが、それぞれ、75cm以上及び1.2m以上のもので、格子その他の屋外からの進入を妨げる構造を有しないものに限る。)を当該壁面の長さ10m以内ごとに設けている場合

では2号に該当する代替進入口とはどのようなものでしょうか。

久留米広域消防本部のホームページに本当に非常に分かりやすくまとめられた資料があります。
設計者に伝えたい気持ちが伝わってきて感動しました。皆さんも是非参考にしてください。

2-6 第2節 第6 非常用の進入口  出典:久留米広域消防本部

代替進入口の要件(共同住宅の場合代替進入口一般的に窓で計画します)

(建基法第 42 条第1項又は第2項に規定するもの)又は道に通ずる幅員4m以上の通路その他 
 の空地に面する各階の外壁面に設ける。(道か空地どちらかに設置し、それ以外の部分には設け
 なくてよいということです。)
②代替進入口の距離は、概ね 10m以内とする。
 ①の部分を10m以内毎に任意に分割し、その分割したなかに代替進入口が1か所あればいいので
 代替進入口間は10m以上はなれていても20m未満ならよいということです。
③「破壊して室内に進入できる構造」として扱える開口部が窓の場合のガラスの条件は下記のとお
  りです。(ホームページ第6-1表参照)これは火災予防条例の有窓計算も同じですね。
  ・板ガラス  6.0㎜以下
  ・網入りガラス 6.8㎜以下(FIX窓は不可)
  ・複層ガラスの場合はそれぞれで上記の厚み以下とします。

窓の幅は75cm以上、高さは1.2m以上とします。
直径1m以上の円が内接できる窓でもよいのですが引違い窓の場合は、1枚の障子で内接する必要
 がありますし,縦滑り出し窓でも使い勝手がわるくあまり1m円内接は、あまり計画しません。)
⑤窓に手すり等を設ける場合は、手すりから上部の部分を窓の有効寸法とする。
(共同住宅の場合、窓の下端が床から1.1m以下の場合、部屋内に手摺を設ける場合があります。
 手摺がある場合その上から1.2mの高さを確保するか、脱着式の手摺として審査機関や消防と協議
 する必要があります。)
⑥代替進入口には赤色による一辺が 20 ㎝の逆正三角形の表示を設けるよう指導とあるのですが指導
 のため協議の結果共同住宅では▲表示はしないことの方が多いです。

でも共同住宅を設計する場合は代替進入口の設置検討の前に
昭 46.12.3建設省住建発第 85 号 による進入口自体を設けない緩和規定を採用できないかをまず検討します。

昭 46.12.3建設省住建発第 85 号

共同住宅において、非常用進入口を設ける代替措置が、下記各号の一に該当する場合は、他の外壁面には窓その他の開口部を設けなくても建築基準法施行令第 126 条の6第2号に該当するものとして取り扱ってよい。

つまり下記の一つにでも該当する場合は代替進入口も設置不要ということになります。

昭 46.12.3建設省住建発第 85 号 各号

各住戸に進入可能なバルコニーを設けること。(隔て板での横移動は不可)
二 階段室型共同住宅にあっては、各階段室に進入可能な開口部を設けること。
廊下型共同住宅にあっては、廊下又は階段室踊り場へ進入可能で、いずれかの進入口から全住戸
 へ歩行距離 20m以内で到達できる。

各号の進入可能とは直径1m以上の円が内接することができるもの又はその幅及び高さが、それぞれ、75cm以上及び1.2m以上のもので、格子その他の屋外からの進入を妨げる構造を有しないもの

つまりバルコニーの手摺上部から上部スラブ下端までが1.2m以上ある必要があるということです。これらをふまえて建築基準法施行令 第126条の6非常用進入口対策をおこなって共同住宅を設計しましょう。またこの項目は火災予防条例の有窓無窓の考えかたと重複します。こちらも合わせて検討しましょう。

MEMO

この内容をホームページでもさらに詳しく説明しているサイトがあります。さいたま市の消防用設備等に関する審査基準 の中の 第2章 第4 無窓階の取り扱いのサイトです。こちらも素晴らしいサイトです。参考にしてください。 出典 さいたま市

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